2015年6月5日金曜日

Between you, me, and the lamp post ここだけの話

私がPMを務める建築部門のプロジェクトが、ヤバいことになっています。クライアントは連邦政府。プロジェクト開始時、元請けの建設会社が設計の基礎条件となる最新の水供給モデルを要求したのに、政府がなかなかこれを出して来ない。このままでは締切に間に合わなくなる、ということで、既存のモデルを基に仕事をスタート。元請けの要請を受け、我々コンサルティング・チームも走り始めます。で、設計が全て終了してから、

「おいおい、これじゃ消火設備が基準を満たしていないぞ。」

と、政府からお叱りを受けたのです。設計終盤になって受け取った水供給モデルを調べたところ、かなりの変更含みで更新されていたというのです。

「そもそも最初に基礎資料を出してくれなかったあんたらが悪い。」

「いや、見切り発車したオタクらが悪い。」

という醜い争いが、複数の弁護士事務所を交えて展開中。

そんなゴタゴタを、現場を担当しているベテランのボビーから電話で聞きました。私は財務面だけ管理していればいいんだけど、前線に立っている彼は、とことんうんざりした様子。

ボビーが続けます。

「訴訟に発展する可能性が高いからさ、メールも含めて、プロジェクト関連の文書は漏れなく弁護士の目を通さなきゃいけないんだ。」

「うわぁ、ひどいね。どうしてそこまで話がこじれちゃったのかな?」

ボビーが声を潜めるようにして、こう言いました。

“This is between you, me, and the lamp post.”
「俺と君と、それからランプポスト(街路灯)の間の話にして欲しいんだけど。」

それから彼は、専門用語を交えて細かく経緯を話し始めたのですが、これが全然頭に入って来ません。彼と私と街路灯が「三人で」深刻に話し合っている映像が浮かんでしまい、笑いをこらえるのに精一杯だったのです。これ、ボビーのジョークなのか?だとしたら彼もこっちの笑いを期待してたんだろうけど、話題がシリアスだし、声のトーンも変わってないから、笑って良いものかどうか判断がつかない…。

電話を切った後、同僚のべス、リチャード、それとディックに解説をお願いしました。

This is between you and me (ここだけの話だけど)というフレーズなら知ってるけど、いきなり街路灯が割り込んで来たもんだから、どう解釈すればいいのか分かんなくてさ。」

三人とも笑いながら、こう答えます。

「他言無用というポイントを強調するために、誰にも秘密を洩らしっこない街路灯を仲間に加えた言い回しなんだよ。」

「それ、ユーモラスな表現なの?」

「もちろんだよ。」

「じゃ、笑うとこだったんだ。」

「うん、笑うポイントだね。」


そんなわけで、ボビーのジョークをスルーしてしまったことを、遅ればせながら知ったのでした。

4 件のコメント:

  1. 間髪入れずに「郵便ポストに聞かれたらやっかいだね」くらい言えるとイイんだろうね、中々とっさには出ないケド。。。。
    知り合いの中ではリチャード氏O久保氏あたりは得意そうだね、あと某教授とか。日常的にそんなことばっか考えてれば出るようになるのカナ。

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  2. ボケたり突っ込んだりというのは、言葉の壁を超えた先にある、更に大きなチャレンジなんだよね。イラン出身の同僚で、常にそういう態勢で会話にのぞんでる奴がいて、よくそんなにポンポン言葉が出て来るなあ、と感心してた。でも最近リチャードに、
    「大して面白くないあいつのボケを延々と聞かされるのはしんどいんだよな。」
    という意味の話をされた時、ハードルが更に跳ね上がったよ。

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    1. そのハードルは中々キビしいね。
      ちなみに某教授も何か話すと周りの大阪人達から「・・・でオチは?」と突っ込まれることがしばしばあるらしく、結構ツラいとこぼしていたゾ。

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  3. 大学教授にオチを要求するような恐ろしい職場では働きたくないね。

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