2014年4月15日火曜日

Old dogs and new tricks 老犬に新芸

土曜日の午後3時20分。日本語補習校で中三クラスに数学を教えた後、妻が職員室前まで回していた車に飛び乗り、空港へGO! まるで銀行強盗チームみたいな連携プレー。5時出発便に無事乗り込みました。

ボランティア教師の仕事も、残すところあと一回。二回やってみて思ったのは、

「中三の数学教師って意外にキツイ!」

ということでした。相手は小学生みたいに素直じゃないし、高校生ほどは成熟していない。非常にビミョーな年齢層で、どう攻略すべきか良く分からんのです。おまけに、今回扱うのが「式と計算」。どう考えてもわくわくするほど面白いテーマじゃない。そこをどうやって興味深く組み立てるか?授業の前日には毎回ひどく悩みます。

さて、現地時間の夜8時半。予定通りコロラド州デンバーに到着し、空港近くのホテルに一泊。日曜の早朝、雪の降りしきるハイウェイを運転し、一路フォートコリンズへ。早めのチェックインが出来たので、ホテルの部屋に腰を落ち着け、トレーニングの準備を開始しました。ここ最近、通常業務と土曜日の授業準備に追われ、とうとう現地入りする日までスライドの製作に取り掛かれなかったのです。そんなわけで、やや焦りながらの一夜漬け。

今回のトレーニングは、

「プロジェクト予算の賢い積み上げ方」
「プロジェクト最終コストの適切な計算方法」

という二つのお題を、計90分で社員に学んでもらうのが目的。フォートコリンズ支社で月火の二回、デンバー支社で水木の二回、計4回同じ内容を教えるため、月曜に使うスライドを一本作ってしまえば後は楽なのです。夜中までかかりましたが、何とか完成!

月曜の朝8時、フォートコリンズ支社に到着すると、事前に何度かメールでやり取りしていた総務のロビン(長身の白人女性でした)が出迎えてくれました。この支社には知り合いが一人もおらず、出席者に関する予備知識ゼロ。ややドキドキしながらプロジェクターのセットアップを始めます。暫くしてぞろぞろと会議室に集まって来た20人ほどの社員たちを眺めると、なんと白人率100パーセント!アジア人の多い南カリフォルニアで講師をしている時はほとんど感じないことですが、久しぶりに「おいおい!アメリカ人の集団に英語で物を教えてるぞ!」という静かな興奮を覚えます。

終了後の休憩時間中、この支社で財務関連レポートの作成を担当しているベテラン社員のマーシャがやって来ました。

「大好評だったわ。もっと早くこのトレーニングを受けたかったってみんな言ってたよ。」

「有難う。それを聞いて安心したよ。しかしこんなに沢山のPM達をサポートするのは大変だろうね。」

「先月までは、エイミーと私と、もう一人いたのよ。でもこの不景気でレイオフの危機が迫っているのを感じて、彼女、自分から辞めちゃったの。それからはもう毎日二人でアップアップよ。」

「それは大忙しだねえ。」

「ここのPM達、今朝見て分かったと思うけど、ほとんどがベテランでしょ。だからね、」

ここでマーシャの口から、こんなフレーズが飛び出します。

“It’s like, old dogs and new tricks.”

直訳すると、

「老犬に新芸って感じよ。」

これは、Teaching new tricks to an old dog. (老犬に新しい芸を教え込む)というイディオムを少し変形させた格好。つまり、年寄りに新しいプロジェクトマネジメント・プログラムを教えようなんて、所詮無理な話だ、という意味ですね。

彼女には言わなかったけど、それでもこのベテランPM達は、皆「学ぼう」としてトレーニングに参加しているんです。土曜日の日本語補習校に来ている中学生たちは、その半分くらいが明らかに、「親に言われて仕方なく」出席している。そういう子たちに「多項式の展開」を教えるのと比べれば、これは遥かに楽な仕事だなあ、と実感したのでした。

ここで英語のイディオムを無理やり作るとすれば、

“Young dogs and algebra.”
「子犬に代数」

ってところでしょうか。ちょっとちがうか


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