2014年3月1日土曜日

割り切りのスピード

水曜日、二人の部下が解雇宣告を受け、即日職場を追われました。前の日の夕方5時過ぎ、ボスのクリスピンからメールが入ります。

「出来れば今日中に電話が欲しい。」

あ、これはきっとヤバい話だな、という直観が走ったのですが、やはり図星でした。

二人とも10月から週24時間勤務に切り下げられていたので、青天の霹靂というわけでもありません。しかしながら、どちらも勤続10年超のベテランです。まあ仕方ないよな、と軽く流せるような話でもないのです。その日の午後、今回レイオフの対象となった部下のひとりと電話で話しました。

「救えなくて申し訳ない。何とか仕事を回そうと頑張ったけど、力が及ばなかった。」

「そのうちこんな日が来るんじゃないかとは思ってたけど、いざ現実になってみると辛いわ。」

翌日、サンディエゴのオフィスに別件で現れたクリスピンが、私の部屋へやってきました。そっと扉を閉め、デスクをはさんで腰を下ろすと、苦しい胸の内を語り始めました。

部門全体の業務量が低迷を続けている今、誰かを切らなければならない。厳しい決断だが、やるしかなかった。週24時間勤務を半年以上続けてから解雇すれば、退職手当の額が激減してしまう。どうせクビにするなら早い方が彼女達のためだ、と自分に言い聞かせたのだ、と。

「昨日の晩、ちょっと考えたんですけどね、」

と私。

「数年後に振り返ってみた時、これは彼女たちにとって良い出来事だった、とも言えるかもしれませんよ。だって、全く新しいことを始めるきっかけになるかもしれないじゃないですか。いつまでも中途半端な形で組織にしがみついていることが、本人やその家族にとって幸せとも限らないですから。私はそう割り切ることに決めたんです。」

クリスピンがこれに頷き、静かに同意を示します。

「実は一昨日、The Optimist Creed (楽観主義クラブのモットー)というのをジムから教えてもらったんですよ。」

このモットーに刺激されて私がいかに楽観主義を意識するようになったかを語ったところ、クリスピンが身を乗り出しました。

「いいね。月曜のマネジャー会議で皆とシェアしよう。それ、送ってくれよ。」

そして間髪を入れず、彼がこう尋ねました。

「最近ゴルフやってる?テニスは?次にオレンジ支社に来る時は、ラケット持って来いよ。ナイター設備のついてるコートが周りにたくさんあるから。」

鮮やかな急展開でした。彼は、若い頃からどれほどテニスに打ち込んで来たかを楽しげに語ります。これが五分ほど続いた時、ああ、もうレイオフの話題は完全に終わったんだな、と気づきました。

直属の部下が二人も解雇された直後です。さすがにここまですっきりと割り切るのは難しい。

試練の時です。


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