2014年2月5日水曜日

That’s the way the cookie crumbles. 大して驚くような話じゃない。

職場の観葉植物のお世話をしてくれているメアリーが、先日アリゾナ州ツーソンの「鉱物市」に出展して来た話をしてくれました(彼女の趣味)。これは60年以上の歴史がある巨大なイベントで、アメリカのみならず世界各国から鉱物好き(シャレ?)が大集合するのだそうです。

「フランスから来たっていう二人組がいてね。一人がしつこく値切っている隙に、もう一方の男が出展者の目を盗んで売り物をポケットに入れるっていう手口の盗みを働いてたの。うちも危うく被害を出すところだったわ。」

同好の士が和やかに交友の輪を拡げている脇で、そんなけしからん奴らも出没するのか、と私が素直に驚いていると、

「見た目が小さくでも一個何万ドルで売れるような鉱石も沢山あるのよ。イベント全体ではミリオンのお金が動いてるわ。」

とメアリー。そしてこう締めくくって立ち去ったのです。

“That’s the way the cookie crumbles.”
「そうやってクッキーはクランブルするのよ。」

え?クッキー?クランブルって何?

数分後に同僚ジムに尋ねたところ、

「うちの会社がIT部門の社員を全員解雇するって発表したの、聞いてる?アウトソースに切り替えるんだって。これで大幅なコスト削減が図れるんだとさ。」

とショッキングなニュースを伝えてから、

“That’s the way the cookie crumbles.”

と付け足します。

「クッキーは粉々に砕ける(クランブルする)もんだ、大して驚くような話じゃないって意味だよ。会社が利益の最大化を追求すれば、行き着くところは血も涙もない人切りだからね。世の中なんてそんなもんだろ、ってね。」

な~るほどね。メアリーは、大金が動く催し物に悪党が紛れ込むなんて、大して驚くような話じゃないって言いたかったのですね。

今朝、いつも丁寧にイディオム解説をしてくれる同僚ステヴに会ったので、セカンド・オピニオンを求めました。

「大量解雇なんていう深刻なシチュエーションで、そのイディオムは使わないな、俺だったら。」

「え、そうなの?」

「話の重さに対して、表現が軽すぎるよ。」

「じゃ、こんなのどう?」

先日アルバカーキ支社へ出張した際、すぐに印刷したい資料があったのですが、私のコンピュータにはこの支社のプリンターが登録されていません。で、会社のITヘルプデスクにリクエストを送ったのですが、出張期間中、なしのつぶて。仕方なく総務の人にいちいちファイルをメールして印刷してもらいました。サンディエゴに戻って間もなく、

「あなたの(サンディエゴの)オフィスに三度電話したのに出なかったので、サポート出来ませんでした。このリクエストは本日をもって失効します。」

というメッセージが届きました。アルバカーキで印刷しようとしてるのに、どうしてサンディエゴに電話してくるんだよ?アホか!少しは頭を使えよ!と一人で毒づきながらも笑ってしまった私。

「うん、そういう場面にぴったりだね。ちょっとシニカルに笑いながら使うイディオムだと思うよ。」

とステヴ。

「じゃあさ、こういうのはどう?」

大事な来客があるので部屋を綺麗に掃除したばかりの若い母親が、幼いわが子に「なるべく散らかさないでね」と繰り返す。ところが幼児の方はそんなのお構いなしに、手にしたクッキーをぎゅ~っと握りつぶしてそこらじゅうに屑をまき散らす。危うくキレかけたわよ、と話す彼女に対し、

“That’s the way the cookie crumbles.”

と笑う女友達。

「いやあ、それはどうかなあ。」

と唸るステヴ。

「あまりにもベタなシャレ(super literal pun)でしょ。」

「笑えない?」

「そりゃ笑えないでしょ。いや待てよ、ぐるっと一周回って大ウケするかもしれないな。十中八九スベるとは思うけど。」


そんなわけで、このジョークで笑いを狙うのは、いちかばちかの賭けのようです。

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