2012年9月14日金曜日

She stood me up. 彼女にすっぽかされたよ。

監査部門からの宿題のひとつに、「オレンジ支社のPM全員に、リスク管理のトレーニングを受けさせる」というものがあります。締め切りは来週の月曜。先月トレーニングを受け損なったPM達に、何とかしてそれまでに受けてもらわないといけません。ちょうど今週月曜の朝9時にウェブを使ったトレーニングが開催されるというので、PM達を会議室に集めました。ところが、なんとリスク管理部が予告もせずにドタキャンしたのです。集まった面々は、呆れるやら怒るやら、大変な騒ぎになりました。

さて水曜日、そのオレンジ支社でコンストラクション・マネジャーのトムと久しぶりに再会して談笑していたら、明日はロングビーチ支社へ行くんだ、と言い出しました。実は僕も明日ロングビーチに行くんだよ、と驚くと、すごい奇遇だなあ、と笑います。しかし色々聞いているうちに、二人ともロバートという若い社員に会う予定であることが判明しました。
「最近PMを任された人達のトレーニングに行くんだよ。ロバートはそのうちの一人なんだ。」
と私。
「俺も彼のトレーニングに行くんだ。最近、安全講習会の講師を任されたっていうから、コツを色々教えなきゃいけなくってね。」
「そんなに色々引き受けちゃって大丈夫なのかね。」
「全然大丈夫じゃないよ。奴の弱点は、イエスマンだってことなんだ。」
「ミシェルがさ、They were thrown to the wolves というイディオムを使って今回のことを評してたよ。」

これを聞いて、トムがパッと顔を輝かせました。
「その通りだよ!そいつはどんぴしゃの表現だ。出来っこないのを重々承知の上で、じゃんじゃん仕事を任せてるんだからな。」
「それってさ、支社長のトラヴィスが自分の身を守るために彼らを犠牲にした (threw him under the bus)、という意味にはならないよね。」
「うん、それは違うな。最近社員がじゃんじゃん辞めてるだろ。置き去りにされた仕事を誰かが片付けないといけない、ということで、たまたま残ってて元気のいいロバートに押し付けたってところじゃないかな。」
「見捨てる(abandon)ってのと同じこと?」
「う~ん、もうちょっと残酷なニュアンスがあるなあ。」

ぴったりした和訳が見つからないなあ、このイディオム…。そこでふと、違う疑問が浮上。
「あのさ、全く関係ない質問するよ。女の子とデートの約束してたけど相手が待ち合わせ場所に現れなかった、ってケースあるでしょ。そういう時は、どういう表現使うんだっけ?」
She stood me up. だな。」
「あ、それそれ。」

何度も聞いたことはあったけど、すっかり忘れてたんです。でも、なんで「彼女が僕を立ち上がらせた」が「すっぽかした」、という意味になるのかな?
「それは分からないよ。」

とトム。その時、途中から話の輪に入っていた同僚エリックがこう言いました。
「そういえば、昔デートの相手にすっぽかされたことがあるよ。彼女の家に迎えに行くことになってたんだけど、到着してみたら家中の灯りが消えてて、ノックしたけど誰も出ないんだ。」
「それでどうしたの?」
「諦めて帰ったよ。それっきり会ってないから、なんでそういう仕打ちを受けたのか、未だに分からないんだ。」
「それ、いくつの時の話?」
とトム。
26歳くらいだったかなあ。」

エリックは50過ぎの立派なおっさんです。四半世紀も前の残酷な出来事が胸を去らない様子は、ちょっと滑稽でちょっぴり悲しかったです。
夕方、大ボスのクリスから電話が入ります。
「月曜のトレーニングはどうだった?」
何も知らない様子だったので、リスク管理部がドタキャンした件を説明しました。折角なので、覚えたてのイディオムを使ってみました。

“They stood us up!”
「彼ら、すっぽかしやがったんですよ!」
言ってみてから、ちゃんと意味が通じたかどうか不安になって来ました。で、今日の午後、同僚ステヴに確認。

「うん、大丈夫。そういう場面でも使える表現だよ。」
あ~良かった!

0 件のコメント:

コメントを投稿