2012年4月20日金曜日

Asleep at the wheel(責任者としての)注意を怠る

以前、カマリヨの支社長トムが南カリフォルニアのトップであるジョエルに叱責を受けた時のこと。
「なんでこんな事態になったんだ?」
とジョエル。
「サリーのプロジェクトはハリーが監督していたんです。ご存知の通り、彼はベテランで財務分析に明るい男です。彼が見ているんだから、とつい安心してしまったんですよ。」
そう弁明した後、トムがこう付け足しました。



“I was asleep at the wheel.”

おお、これは新しい表現だぞ、と興奮し、慌ててノートに書き取る私。Wheel というのは Steering wheel (車のハンドル) のこと。At the wheel (ハンドル握って)眠っちゃった、つまり「居眠り運転してしまった」という意味だというのはすぐに察しがつき来ました。ハリーに任せきりにしてしまい、組織の長として払うべき注意を怠った、というところでしょう。

さて最近、運転中に睡魔に襲われることが度重なり、突如疑問が浮上しました。そういえば、

I was asleep behind the wheel.

というフレーズも「居眠り運転する」という意味なんです。ハンドルのbehind (後方)というのは運転席のことなので、文字通り「運転しながら眠ってしまった」という話ですね。問題は、At the wheel Behind the wheel のニュアンスの違いは何かということ。

さっそく同僚リチャードを訪ねます。
「同じだよ。どっちも居眠り運転のことを指してるんだ。」
「でもさ、前置詞が違うんだから、意味の違いはあるはずじゃない?」
と食い下がる私。
「いや、僕は同じだと思うけど。…分からないなあ。」

学校「に」行くのと学校「へ」行くのとでは微妙にニュアンスが違うのと同様、きっと使い分けが存在するに違いない思い、今度は弁護士の同僚ラリーを訪ねました。
「そうだね。At the wheel は、運転席に座った状態を示すのと同時に、事態をコントロールする立場にいる、という概念を表してるんだよ。Behind the wheel には、そういう比喩的な意味合いは無いと思うな。」

やっぱりね。そうだろうと思ったよ!

で、結論。

Asleep behind the wheel は「居眠り運転する」。
Asleep at the wheel には、「居眠り運転する」と「(責任者としての)注意を怠る」の両方意味がある、ということですね。

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