2011年6月25日土曜日

Anal 潔癖症

今日の午後、プロジェクト・チームのミーティングがありました。皆でクライアントに提出する月次レポートの最終チェックをしていた時、リーダーのテリーが、
「ここのタイトルは Issue のままでいいかしら?」
と疑問を呈しました。対外PMのジムがこれに応え、
「一項目目は確かに issue だけど、二項目目は issue と呼べるかどうか怪しいよね。」
と深く考え込みます。セシリアが、
「Contingecy/Issues と呼んだらどうかしら。」
と提案。あまりに繊細な言葉の選び方に、こりゃとても割って入れないな、と感じ始めていた時、テリーがくるりとこちらを向いて尋ねました。
「あなたの周りの人は、こんな細かいことにこだわらないんじゃない?」
私の周囲は無骨なエンジニアが多いため、確かにここまで細かくない。
「ええ、割と大雑把ですよ。皆さんの方が、ずっと洗練(sophisticated)されてますね。」
「洗練されてる?それは過分な褒め言葉だわね。」
とセシリア。
「正確に言えば、どうでもいいことにこだわるタイプの人間ばかりってことよね。」
と自虐的な笑みを浮かべました。テリーもジムもこれに同調し、ふふふと笑いました。三人がしきりに使ったのが、この表現。

“We are just anal.”

字義通りに解釈すると、「私達って肛門的。」 Anal(「エイノォ」と聞こえます)は、Anus (肛門)の形容詞形なのです。どうでもいいような細部にこだわる人を形容する際によく使われるのですが、なんで肛門?と、あらためて疑問が湧きました。超忙しかったのですが、この好奇心には勝てず、ネットで調査すること15分。そこで分かったのは、もともとこれが心理学界の巨人、フロイトの学説から来ているということ。

フロイトは、人間の成長発達段階をいくつかに分けているのですが、呼吸や授乳に際して口や唇で覚える快感を通し、外界と繋がる「口唇期」に始まり、トイレ・トレーニングを通して自律性を習得する「肛門期」へと発達すると説きました。そしてこの「肛門期」に発達を妨げるような要因があると、成長してから「細かいことに異常ににこだわる」人間(これを「anal retentive」と呼びます)になるのだ、とフロイトは唱えたのだそうです。

そんなわけで、「私たちってアナルなのよ」が「私たちって、細かいことにこだわる人間なのよ」、つまり「潔癖症なの」という意味で使われるようになったのだと。かなりの飛躍だよなあ。日本で「俺ってアナルな人なんだ。」「わたしもアナルよ。」などと口走ったら、要らぬ誤解を招くと思います。

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