2011年1月3日月曜日

Let the cat out of the bag. うっかり秘密を漏らす

私の仕事はプロジェクトマネジャー達のサポート役なので、普段あまりストレスを感じません。スケジュールの遅れや予測コストなどの情報をタイムリーに提供することが最大の使命であり、あとは責任者であるプロジェクトマネジャーが判断すれば良いのです。

ところが、先月は珍しくストレス過剰な日々を過ごしました。年末というのは上場企業にとって第一四半期の締めくくりであり、ここで出す数字は重役の面々にとって非常に重大な意味を持っています。事の始まりは12月初旬に私が算出したあるプロジェクトのコスト予測です。これが、上役達に衝撃を与えました。部門全体の業績査定を大きく左右する程の損失予想額だったので、上層部が血相を変えて騒ぎ始めたのです。ちょうど担当PMが休暇を取っていたのも手伝って、説明を求める声が私に殺到しました。要請に応え、言葉を尽くして説明を続けたのですが、誰も納得してくれません。レポートの提出期限はとっくに過ぎているというのに、予測額の承認が誰からも下りないどころか、段々と話を聞いてくれなくなったのです。気がつくと、単なるメッセンジャーのはずの私が、巨大なプレッシャーで押しつぶされそうになっていました。鈍感な私でも、さすがにこれは「数字をいじれ」という無言の圧力なのではないか、と勘繰り始めました。

弁護士の同僚ラリーにこの苦境を吐露したところ、こんな答えが返って来ました。
「分かるよ。誰も口には出さないけど、そういうプレッシャーは至る所でかかってるんだ。僕の仕事だって同じだよ。プロジェクトに入札するかどうかの法的チェックをするのが僕の役目だけど、普段なら誰も手を出さないようなハイリスクのプロジェクトでさえ、皆目をつぶって引き受けようとしてるんだ。今季の目標を達成したいがためにね。入札すべきではない、と進言する僕にだって無言の圧力がかかってる。余計なことを言うな、ここは目をつむってくれってね。だけどそのプレッシャーに負けたらおしまいだ。誰も実際にでっち上げろとは言ってないんだ。そこで君が数字を捏造すれば、最終的に責任を取らされるのは君だからね。プレッシャーに打ち克って正論を吐き続けたことでクビになったとしても、人間としての高潔さは守れる。一度でも折れたら、そこで君の自尊心や評判は地に落ちるんだ。」

さらに彼が続けます。
「それにもしも何か不正をやれば、遅かれ早かれひょんなことからバレちゃうものなんだよ。」
この時彼が使ったイディオムがこれ。

“Sooner or later, we’ll let the cat out of the bag.”

この「猫を袋から出す」というのが「うっかり秘密を漏らす」という意味であることは、以前から知っていました。でもなんで猫なのか、というのが分からなかったので、今回ちょっと調べてみました。

有力な説は、昔、市場で家畜の売買をやっていた時、仔豚と偽って子猫を袋に入れて売っていたという話。取引成立前に子猫が袋から飛び出して来てバレちゃった、チャンチャン。てなことですね。

猫は「容易に手に入ったから」そういう詐欺行為に使いやすかったというのですが、子猫ってそんなに簡単に入手出来るのだろうか(猫飼ったことないので分からない)?そう思って調べたところ、こんなことが書いてありました。
「一度に4~6匹の子を産み、年に2~3回出産するので、その数はあっという間に増えます。」

ひえ~っ!

2 件のコメント:

  1. 表題の英文を検索していて辿り着きました。
    いくつか記事を楽しく読ませていただきました。
    今後も時々寄らせていただきます。
    ではまた。

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  2. コメント有難うございます。またお越し下さい!

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