2010年11月12日金曜日

Hot Button デリケートな(テーマ)

はす向かいの部屋で仕事してる弁護士の同僚ラリーに、一昨日こんな質問をしました。
「クライアントとの契約書によくIndemnification (賠償)という項目があるんだけど、それと Professional Liability Insurance (専門職業賠償責任保険)との関係が良く分からないんだよね。教えてくれる?」

重大な設計ミスによって構造物が崩壊してしまった、などという場合に設計者である我々がその損害を賠償し、クライントに迷惑は一切おかけしません、というのがIndemnification (賠償)条項です。ここまでは分かる。でも、そんな条項に合意させといて、何でまたわざわざ「保険もかけておきなさい」と要求するわけ?というのが私の疑問でした。

「車の保険と一緒さ。人をはねた場合の賠償額は加害者である私が払います、と言うのはやさしいけど、現実にはそんな大金を支払う能力のある人なんてまずいないだろ。だから政府は、運転手にきちんと保険をかけさせるんだ。僕らの仕事だって同じことだよ。」

なるほど、納得です。ラリーが続けます。
「Indemnification (賠償)は、クライアント側がこっそり過剰な要求を付け足すことが多い条項で、要注意なんだ。たまに、損害の原因が相手にないケースでも賠償要求出来るような文章が紛れ込ませてあったりね。Indemnification は、契約書の中でも一番神経を尖らせなければならないデリケートな条項のひとつだよ。」

この時ラリーが使った言い回しがこれ。

The indemnification is one of the hot-button clauses.

この “Hot Button” ですが、もともとセールスマンが商品を売る際、「客に飛びつかせるために押さえておくべきポイント」をこう呼んでいたようです。それが1984年の大統領選挙で「激論に発展する争点」という意味で使われたことから、以後こちらが主流になったようです。「死刑制度」や「銃規制」などがその良い例でしょう。「熱いボタン」を押した途端、熱い議論が始まる感じですね。

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