2010年8月30日月曜日

Bait and switch おとり商法

先週サクラメントで行ったクライアントへのプレゼンは、こんな具合で進みました。最初にこちらが売り口上を20分間展開し、続けて質問状を受け取る。審査員三人が15分間席を外している間に大急ぎでこれを検討し、戻って来た審査員たちが質問をひとつひとつ読み上げ、我々がこれに答える。

質問は8つほどで、それぞれが結構な難物です。15分間というのは思ったよりも短く、結局どの質問に誰が答えるかを割り振るので精一杯でした。私は結局3問を受け持ったのですが、担当しなかった質問のひとつにこんなのがありました。

We have experienced bait and switch many times. そういうことをしないという保証は?

なんとなく意味は分かったのですが、これにどう答えて良いのかなんて見当もつきません。

Bait and switch のBait (ベイト)は釣りなどのエサのこと。問題はSwitchです。切り替える、という意味は知っていたのですが、それじゃ話が見えません。今日調べてみたら、Switch には「小枝などでムチ打つ」という意味があるのですね。そう言われてみると、電気回路のスイッチは「しなやかにたわむ小枝」っぽい。

Bait and switchは値引き商品をおとりとして高額商品を買わせる、いわゆる「おとり商法」を指すのですが、ここでは「うちにはこんな優秀なコンサルタントがいますよ」と人材の豊富さを売りつけておいて、いざプロジェクトをゲットしたら「彼らは現在、ちょうど他のプロジェクトで忙しくて…」と二軍クラスの社員をあてがう、というやり方を意味しています。

プレゼンチームの大御所のひとりフィルが、
「我々の辞書に、そんな言葉はありません。大体そんな会社は二度と雇ってはいけません。我々の仕事は信頼で成り立っているのです。」
と噛んで含めるように言うと、別の大御所のケヴィンが、
「仕事を始める前に、そんなおかしな真似はしないという合意書を交わすというのはいかがです?」
と落ち着いて付け足しました。

私にはそんな回答、思いもつきませんでした。経験の長さというのは、こういう時に物を言うんだなあ、と感心したのでした。

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